ラ・リティラータ/アリアーガ:弦楽四重奏のための主題と変奏
作曲:フアン・クリソストモ・デ・アリアーガ(1806 – 1826、スペイン)
曲名:弦楽四重奏のための主題と変奏 作品17
古典期のスペインの作曲家というと、イタリアからスペインへ移ったドメニコ・スカルラッティやボッケリーニは別として、ほとんど知られていないかと思いますが、このアリアーガは早熟の天才にして夭逝した作曲家として「スペインのモーツァルト」とも呼ばれました。
日本では、スペインのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者で指揮者でもあるジョルディ・サバールが自身の指揮でアリアーガの作品をとりあげたことで一躍知られることになったことと思います。
この「弦楽四重奏のための主題と変奏」は1820年に作曲されました。アリアーガが14歳のときの作品ということになります。そしてその3年後に3曲の弦楽四重奏曲、その翌年に交響曲を作曲しています。この当時にスペイン人の作曲家が皆無に等しかったことも考えれば、周囲が騒いでしまうのもしかたのないことだったかもしれません。
それにしてもこの作品、主題がなんともチャーミングです。この主題をもとに6曲の変奏が展開されていきますが、14歳の作品ということもあってか、みずみずしさを感じさせます。弦を指ではじくピツィカート奏法が多用されているのもチャーミングに聴こえる要素のひとつでしょうか。個人的な印象としては、バロック時代のチェンバロやオルガンのための変奏曲を弦楽四重奏で聴いている感じです。
さて、演奏のラ・リティラータは、アリアーガと同じスペインのビルバオ出身のチェリスト、ジョセチュ・オブレゴンによって2007年に結成された室内楽アンサンブルグループです。ヴァイオリンには、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集のCDで注目を集めたヴァイオリニスト、ヒロ・クロサキが参加しています。古楽器演奏ならではの、みずみずしい音色と繊細なアンサンブルが楽しめることと思います。
