五嶋みどり(ヴァイオリン)/J.S.バッハ:シャコンヌ
作曲:ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685 – 1750、ドイツ)
曲名:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 BWV1004より シャコンヌ
「シャコンヌ」は本来、三拍子の舞曲のひとつで、ひとつの和声進行を繰り返しながら主題を変奏させていく楽曲形式のことで、特にバロック時代にはさまざまな作曲家がこの形式を利用して、自身の作曲の腕をふるいました。その完成形ともいわれるのが、バッハのシャコンヌです。
バッハは「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」という三曲のソナタと三曲のパルティータからなる作品を作曲しており、このうちのパルティータ第2番の最後の曲がシャコンヌにあたります。
バッハの作曲の特徴のひとつに「対位法」があげられると思います。「対位法」はごく簡単にいってしまうと、複数のメロディーを同時に演奏し音楽として成立させる作曲技法ということがいえます。バッハのシャコンヌを聴くと、ヴァイオリン一台の演奏であるにもかかわらず、和音、コードの音の動き、主旋律が一小節のなかで同時に演奏されているのがわかるかと思います。
ヴァイオリンはおもにメロディーを弾く「旋律楽器」とされていますが、バッハのシャコンヌは先にも書いたとおり、メロディーだけでなく、同時に和音、コードも演奏させる、いってみればヴァイオリン演奏の可能性が限界まで追求され、現在でもヴァイオリニストにとって「バイブル」として存在する作品といえます。
動画で紹介した五嶋みどりは言わずと知れた現代の日本を代表するヴァイオリニストのひとりです。もちろん、無伴奏ソナタとパルティータの全曲のCDもありますので、興味を持たれた方はぜひ聴いてみてはいかがでしょうか。