フォルテピアノで聴くベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章

ヨス・ファン・インマゼール(フォルテピアノ)/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」より第2楽章

作曲:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770 – 1827、ドイツ)

曲名:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」より第2楽章

ベートーヴェンのピアノ・ソナタのなかだけでなく、クラシック音楽のなかにおいても有名な「悲愴」ですが、ここではちょっと趣向を変えてフォルテピアノによる演奏を紹介したいと思います。

フォルテピアノは、おおざっぱにいえば、初期段階のピアノ、あるいは現代のピアノの一段階前のピアノと考えていただければよいかと思います。チェンバロと現代のピアノのあいだの鍵盤楽器という言い方もできるかもしれません。年代でいうと、1700年ごろから1800年代の前半にかけて発展・普及し、1800年代の後半からはピアノ製作における技術的な革新によって現代のピアノにとってかわられるようになります。ですからその頃を生きていたハイドンやモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトといった作曲家たちは実際にフォルテピアノを使っていたということがいえます。

フォルテピアノ – Wikipedia

紹介した動画で演奏されているフォルテピアノは、動画の説明欄では書かれていませんが、1700年代後半から1800年代初頭にかけて、当時最高峰ともいわれたウィーンのフォルテピアノ製作者であるアントン・ワルターのモデルを現代の製作者であるクリストファー・クラークが製作したレプリカです。

ふだん耳にするモダンピアノに比べるとかなり音色が違うことに気づかれると思います。弦の金属性の響きが明確に聞こえて、それでいて木の丸みのある響きも聞こえます。

フォルテピアノは、イタリアのクリストフォリという人によって発明され、その後は主にウィーンとイギリスで盛んに製作されました。製造方法の違いや、開発・改良が重ねられたこともあって、一口にフォルテピアノといってもけっこう音色はさまざまです。フォルテピアノによる演奏を収録したCDでしたら、必ずCDのジャケットやライナーノートに製作者の名前やレプリカを作った製作者の名前がクレジットされています。製作者の名前をチェックしたり、音色を聴きくらべてみたりするのも、フォルテピアノならではの楽しみ方といえるでしょう。

なお、ここでは一般的な名称として「フォルテピアノ」としましたが、ドイツ語ではフォルテピアノのことをハンマーフリューゲル、ハンマークラヴィーアと表記されるように、フォルテピアノは言語によって名称が違うことがあります。イタリア語では現代のピアノをピアノフォルテと表記されますので、少しややこしいですね。

さて、紹介した動画のピアニストはベルギーのピアニスト、ヨス・ファン・インマゼールです。フォルテピアノの演奏では間違いなく第一人者のひとりといえます。また、アニマ・エテルナというオーケストラを率いて指揮者としても活動していますので、気になった方はチェックしてみてください。

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