レナード・バーンスタイン(指揮)、ニューヨーク・フィルハーモニック/アイヴズ:宵闇のセントラル・パーク
作曲:チャールズ・アイヴズ(1874 – 1954、アメリカ)
曲名:室内オーケストラのための「宵闇のセントラル・パーク」
アイヴズはアメリカの作曲家ですが、長年、保険会社に勤め、余暇に作曲をおこなっていました。では、片手間の趣味だったかというとそうではなく、アメリカ現代音楽の先駆者と称されるほどの重要な作曲家でした。
その特徴のひとつに「多調(あるいは複調)」があげられます。多調は、異なった調性が同時に演奏される状態をいい、前衛的な手法としては代表格のひとつといえます。多調は、特に、ストラヴィンスキー、ミヨーなどの作曲家が使用したことで知られていますが、アイヴズは彼らに先駆けてこの多調を使っていました。
参照→ ミヨー:バレエ音楽「屋根の上の牡牛」- クラシック音楽~次の一歩
この「宵闇のセントラル・パーク」は1906年に作曲されました。
曲の前半は弦楽を中心に、静かな雰囲気で進むのですが、後半、ピアノが入ってくるあたりから一気に様子が騒然とします。クラリネットやトロンボーン、ピアノが、それぞれ好き勝手なぐらいにふるまい、そしてもとから演奏されている弦楽は過ぎていく時間のように淡々としている様子は、ちょうど、ニューヨークという街がさまざまな人種によって構成されているのを象徴しているかのようで、まさに「多」の音楽といえるでしょう。
演奏はいわずと知れたアメリカの名指揮者バーンスタインと手兵ニューヨーク・フィルによる録音です。バーンスタインは、古典からオペラまで手がけ、自身も作曲家として活躍するなど多才ぶりを発揮しましたが、アメリカの作曲家の作品を多く録音したことも重要な功績だといえます。