クロンマー:管楽八重奏のパルティータ 変ホ長調 作品79

オランダ管楽アンサンブル/クロンマー:管楽八重奏のパルティータ 変ホ長調 作品79

上の動画はこのサイト用に作成した再生リスト(YouTube)の1曲目です。自動再生でそのまま全曲視聴できます。

作曲:フランツ・クロンマー(17591831、モラヴィア)

曲名:管楽八重奏のパルティータ 変ホ長調 作品79

フランツ・クロンマー(Franz Krommer)は、18世紀半ばに現在のチェコの東部にあたるモラヴィアで生まれた作曲家です。ウィーンに出て有名になったことからドイツ語読みの「フランツ・クロンマー」が一般的ですが、本名は、フランティシェク・ヴィンツェンツ・クラマーシュ(František Vincenc Kramař)といいます。チェコ語読みの「クラマーシュ」は日本語の表記では、クラマージュだったり、クラマルシュだったり、さまざまあるようですが、これはチェコ語の「ř」の発音が曖昧でカタカナで表記しにくいことにもよるかと思います。「ř」といえばあのドヴォルザーク(Dvořák)もそうですね。ちなみにチェコ語の「ř」は世界一発音が難しいともいわれているそうです。

 さて、モラヴィア出身のクロンマー(クラマーシュ)ですが、ウィーンで宮廷楽長を務めたほどの音楽家で、作曲家としても数多くの楽曲を残しています。ヴァイオリニストでもありましたが、作品としてはクラリネットなどの木管楽器のための作品がよく知られています。

この管楽八重奏のパルティータ作品79は、第一楽章から軽快なテンポで演奏される、朗らかな印象の作品ですが、たとえば冒頭のホルンが細かく上下するフレーズなど、演奏のテクニックも問われる作品といえそうです。

管楽のアンサンブルは、もしかすると室内楽のなかではあまりメジャーなほうではないかもしれません。さらにいえば木管楽器のファゴットにはどうしても地味で裏方的な印象がつきまといがちです。しかし、こういった管楽アンサンブルの楽曲においては地味な印象のファゴットがいかに重要な役割を果たしているかがはっきり聴きとれるかと思います。

今回紹介したオランダ管楽アンサンブルは、1959年にコンセルトヘボウ管弦楽団の首席ファゴット奏者だったトム・デ・クラークとアムステルダム音楽院の学生たちとで結成されました。エド・デ・ワールト、ハン・デ・ヴリースといった著名な演奏家もメンバーに名を連ねており、同じくオランダの名門レーベルであるフィリップスに録音を残しています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする