プーランク:歌劇「人間の声」

エルミニー・ブロンデル(ソプラノ)、アモーリ・デュ・クロゼール(指揮)、クレルモン=フェラン・オペラ座/プーランク:歌劇「人間の声」

作曲:フランシス・プーランク(1899 – 1963、フランス)

曲名:歌劇「人間の声」

プーランクのオペラ「人間の声」ですが、舞台で演じるのは実はひとりだけしかいません。いわゆる一人芝居(と伴奏のオーケストラ)で演じられるオペラです。こういうオペラをモノオペラといいます(演劇における一人芝居とあわせてモノドラマとも呼ばれます)。

「人間の声」はもともとジャン・コクトーが1930年に発表した戯曲ですが、これにプーランクは音楽をつけてオペラに仕立てあげました。恋人に別れを告げられてしまったひとりの女性が、恋人だった男性からかかってくる電話をとおして吐露する孤独や絶望といった苦悩が主題になっています。

考えてみれば、クラシック音楽に電話器が出てくることがそもそも「ない」ことなので、電話のベルがシロフォンで表現されていたりするのもなるほどおもしろいですし、コミュニケーションの相手が目の前にいない、受話器のコードが恋人の象徴になるという点では、「大衆の時代」から「個の時代」あるいは「ネット・コミュニケーション」への移り変わり、「モノへの依存」といった、現代的な特徴をあらわしているようでとても興味深く思えてきます。

紹介した動画は、フランスのクレルモン=フェランのオペラ座でのライブ映像ですが、日本語の字幕がないのが残念ですね。

ソプラノのエルミニー・ブロンデルはフランス系アメリカ人だそうですが、主にフランスなどヨーロッパでオペラ歌手として活動している若手ソプラノ歌手です。

指揮のアモーリ・デュ・クロゼールは近代音楽を主なレパートリーとする指揮者で、作曲家でもあります。また、研究・教育方面でも熱心な活動をしているようです。

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