G.B.サンマルティーニ:シンフォニア ハ長調

リッカルド・ドーニ(指揮、チェンバロ)、アッカデーミア・デラヌンチアータ/G.B.サンマルティーニ:シンフォニア ハ長調 JC7

作曲:ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(1700/01 – 1775、イタリア)

曲名:シンフォニア ハ長調 JC7

ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニは、古典派の初期段階である前古典派時代に活躍したイタリアの作曲家です。

以前の記事で、ヨハン・シュターミッツの交響曲をとりあげ、交響曲の「萌芽」として紹介したことがありました。

ヨハン・シュターミッツ:交響曲 ニ長調 作品3-2 – クラシック音楽~次の一歩

このなかで、

“「交響曲」は、だいたい1750年あたりにイタリアでオペラの序曲を演奏会用に単独で演奏するようになったのが発端といわれています。”

と書きました。この演奏会用の序曲はシンフォニアとも呼ばれていたのですが、イタリアでシンフォニアを数多く作曲し、交響曲の誕生を準備したともいえる人物が、今回紹介するジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニです。

このハ長調のシンフォニアは1720年代末の作曲とされています。3楽章から成っていて、急 – 緩 – 急という構成です。また、管楽器のパートはなく弦楽器のみで、通奏低音が入っているあたりはまだバロック音楽の名残りを感じさせます。

颯爽とはじまる第一楽章ですが、同一音を弾くヴァイオリンに対して、上下するフレーズで低音を支えるチェロとコントラバス、あるいは同一音の第二ヴァイオリンと素早く上昇するフレーズの第一ヴァイオリンといった対比や、中間部でのマイナー調に変わる様子などに注目してみるとよいかもしれません。

第二楽章はさみしげな印象ではじまります。やがてリラックスした雰囲気にも変わりますが、またなだらかにメランコリックな雰囲気に戻っていきます。特にヴァイオリンとヴィオラのみで演奏される箇所から第二楽章の終わりまで続く憂いなどは、サンマルティーニの他のシンフォニアの緩楽章と比べてもかなりはっきりした特徴をもっているといえるのではないでしょうか。

第三楽章は唯一の4分の2拍子です。第一楽章とおなじようにこちらも爽やかな印象です。そういえば、まだ交響曲とは呼ばれていない段階の作品ではありますが、第一楽章が3拍子(第二楽章は8分の12拍子)って珍しいのかもしれません。と思っていたら、こんなのがありました。

交響曲の第1楽章が3拍子(系)の曲 – Yahoo!知恵袋

でも、オペラの序曲から派生したと考えれば、別に3拍子ではじまるとしてもおかしくはないかとも考えたのですが、確認できたなかでは、たとえばヴィヴァルディのオペラ序曲でも「ファルナーチェ」の序曲が3拍子でしたが、ほとんどは4拍子でした。

さて、この曲が作曲されたのは1720年代末とのことでした。なにかの楽器をフィーチャーする協奏曲でもなく、オペラのための序曲でもない、純粋な合奏のための曲で、しかも3楽章に分けられていて、それぞれテンポや曲調といった性格づけがされているといった点で、すでに交響曲の原型はできているといえるでしょう。

そして、こういったシンフォニアが新しい楽曲形式として注目され、イタリアからドイツやフランス、イギリスへと伝わっていき、それぞれの地で交響曲に発展していくことになります。

今回の動画で演奏しているのは、イタリアの古楽器演奏グループのアッカデーミア・デラヌンチアータです。指揮と通奏低音のチェンバロを担当しているリッカルド・ドーニは、ヴィヴァルディの「四季」の鮮烈な演奏で日本でも話題になったイル・ジャルディーノ・アルモニコのメンバーで、2010年からアッカデーミア・デラヌンチアータの音楽監督を務めています。

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