V・レーピン、田中杏菜、I・タラセンコ、A・ポープラス、M・ブルネッロ、S・シャユク/チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
作曲:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840 – 1893、ロシア)
曲名:弦楽六重奏曲 ニ短調 作品70「フィレンツェの思い出」
弦楽六重奏曲というと、室内楽ではそんなにメジャーな編成ではないかもしれません。しかし、ブラームスの二曲の六重奏曲やシェーンベルクの「浄夜」などの有名な曲もあります。
チャイコフスキーのこの「フィレンツェの思い出」も、同じ作曲家の、同じ弦楽器のみの編成による「弦楽セレナード」の陰についつい隠れてしまう作品といえるでしょう。
しかし、冒頭の激情的なフレーズや後半に出てくるロシア民謡の面影、甘美なメランコリーなど、常に聴き手の心をつかんで離さない魅力が全編に散りばめられています。
この「フィレンツェの思い出」ですが、六重奏よりも編成を大きくした弦楽合奏版もあります。気になった方は聴きくらべてみてはいかがでしょうか。
上に紹介した動画の第一ヴァイオリンのワディム・レーピンは大手のメジャー・レーベルからチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の録音をリリースするなどの実力者でもあります。そして、第二ヴァイオリンの田中さんは9歳からロシアに留学しているヴァイオリニストで、レーピンに才能を見出されたいわば秘蔵っ子とでもいうべき存在でしょうか。
また、チェロのマリオ・ブルネッロはイタリア人ではじめてチャイコフスキー国際コンクールで優勝したチェリストです。来日公演の経験やCDのリリースもあるのでご存知の方も多いかと思います。