ピエール・パンスマイユ(オルガン)/ヴィドール:オルガン交響曲第5番より「トッカータ」
作曲:シャルル=マリー・ヴィドール(1844 – 1937、フランス)
曲名:オルガン交響曲第5番 作品42-1 より第5楽章「トッカータ」
そもそも「オルガン交響曲」というジャンルが珍しいのですが、しかしこのヴィドールの「トッカータ」はオルガン好きにはとても知られている作品です。
本来、ヴィドールのオルガン交響曲第5番は5つの楽章からなるオルガンの作品で、この「トッカータ」は最後の第5楽章にあたります。きらびやかかつ壮大な曲調であるため、この「トッカータ」だけ演奏される機会も多いようです。
動画で紹介したオルガニスト、ピエール・パンスマイユは来日経験やCDのリリースもあるので、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
ピエール・パンスマイユの演奏のテンポですが、いろいろ録音があるなかではわりと速めなほうかと思います。個人的にはこういった曲は速いほうが好みではありますが、ウィキペディアを見るとヴィドール本人は速いテンポを指定してはいないようで(シャルル=マリー・ヴィドール – Wikipedia)、実際にEMIから出ていたヴィドール自演のCDではとてもゆっくりした演奏でした。
ここではオルガンのことにも触れておこうと思います。動画にもあるオルガン(ヴィドール本人が残している演奏時のオルガンもそうですが)はアリスティド・カヴァイエ=コルという名製作者によって作られたオルガンです。
オーケストラが優れた演奏をするときの音色を「オルガントーン」と称することがありますが、単一の楽器であるオルガンがさまざまな音色を発し、それぞれの音色が交響的に響くように発展させたのはカヴァイエ=コルによる功績といえます。このカヴァイエ=コルがオルガンを革命的に発展させたことによって、フランク、サン=サーンスなどの作曲家がオルガンのための作品を手がけるようになりました。ヴィドールのオルガン交響曲、あるいは「トッカータ」もそういった動きのなかで生まれた代表的な作品のひとつです。