クセナキス:ペルセポリス

フランス Fractal Records からリリースされたCD

作曲:ヤニス・クセナキス(1922 – 2001、ギリシャ→フランス)

曲名:ペルセポリス

クセナキスの「ペルセポリス」はいわゆるテープ音楽で、アナログテープに音素材を録音し、演奏時には8チャンネルで制御するといった作品です。音素材には楽曲を加工したものや電子音・金属音などのノイズが使われているため、現代音楽だけでなく、実験音楽やテクノシーンからも注目されました。

初演は1971年にイランのペルセポリス神殿でおこなわれています。音楽の演奏だけでなくレーザー光線の明滅や、たいまつを持った子どもたちを走りまわるなど、視覚的な演出も加わったスペクタクルな演奏だったようです。

クセナキスはもともとアテネで建築と数学を学んでおり、特に数学の理論を作曲に応用したことで知られていますが、一方で、騒音やノイズなど、人間がコントロールしきれない音による音楽も探求しており、「ペルセポリス」もそういった作品を代表するものといえるでしょう。

使われている楽器もわからず、そもそもそれが楽器の音なのかもわからないというのは、それまでの「クラシック音楽」ではありえないことでしょう。しかし、それらの音をテープに定着させれば再生することができるわけで、つまり、ここではテープを再生することが楽器を演奏することになっているといえます。ちょうど、現在のDJや、サンプリングやリミックスをおこなうトラックメイカーと同じようなものかもしれません。

こうしたテープ音楽は、人間が楽器を演奏するといった従来の音楽をくつがえすだけでなく、人間には不可能な「演奏」も可能にしました。「ペルセポリス」の圧倒的な音の洪水はテープ音楽だからこそなしえたといっても過言ではないでしょう。蛇足でありますが、この作品を聴くときには、なるべく体調のいいときに可能な限りの大音量で聴くのがおすすめです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする